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月初には何かしら出ていると思い、本屋に行ったのですが・・・
昨日の戦利品。
死にぞこないの青 暗いところで待ち合わせ / 作:乙一 画:山本小鉄子
乙一さんの作品の魅力は普通に考え付かない状況から物語が開始したりするところです。
「暗いところで待ち合わせ」はそういう意味で秀逸です。
乙一作品全体で私が特に好きな作品は「SEVEN ROOM」ですね。
メイドをねらえ! / 作:まっつー 画:椿あす
某ブログで見かけてちょっと読んでみたくなって買いました。
内容ですか?絵はかわいいけれど・・・
様々な2chネタでそれなりに笑える部分はあります。
夢幻紳士 怪奇編 / 高橋葉介
高橋葉介さんは私に強く影響を及ぼしている作家さんで、その作品群は私の文章を読んでくださる方には是非手に取って頂きたい逸品ぞろいです。
最近毎月のように復刻版の単行本が出ていて、過去の作品を実家に置いて来てしまった私にはありがたい限りです。読んだことのない作品も結構見られますし、今はいい時代ですねえ。
巻末の妖気すら感じさせる夢幻のイラストが絶品でした。
このスタイルで単行本になっていない(と思われる)「宵闇通りのブン」が早いところ読みたいです。
参考までに「高橋葉介ウヱブサイト」
http://yousuke.mysterious.jp/
「一人で洗えるのか………えらいね、雛子は」
と、呟いた千影は両手と顎を湯船の縁に預け、雛子が髪を洗う様子を眺めていた。
「ねえたまはどうしてたの?」
千影はその問いには答えずに。
「雛子は………今五歳だったかな?」
もう一度問うた。
「そーだよ?」
―――五歳か。心の中で繰り返す。
「私は………その………兄くん………いや、何でもない」
十歳まで髪を洗ってくれたのが兄、昴であった事。更に三日に一度は一緒に入浴していた、とは流石に言い出せなかった。
*
「ヒナねえ、知ってたんだよ」
「………何を………かな?」
「ねえたまが時々おるすにしてること………クシシシ」
妙な笑い声を立てる雛子を千影は訝しげに見ていたが。
雛子は鼻歌を歌いながら髪を洗う作業に戻っていた。それを見た千影は背を向け湯槽に背を預ける。
「それは………驚いたね………何故………分かったのかな?」
館の浴場は広く、湯槽は下手な銭湯よりも大きい。
湯煙に隠れた朝日の差し込む窓を眺めながら
答えはなかった。
もう一度言い掛け―――改めて雛子を見やって、止めた。
千影の言葉は無視された訳でなく―――丁度髪を流している所であった。
「………内緒の秘密………と言った所かな………」
返って来る答えを予想して苦笑する。
「ん?ねえたま、何か言った?」
「いや………何でもない………雛子、こっちに来るかい?」
手を差し出す千影の元に。
「うん!」
水飛沫を上げ、雛子が飛び込んだ。
「………飛び込むのは………止めた方がいい………行儀が悪いと………兄くんに嫌われるよ………雛子?」
と、髪の先までずぶ濡れになった千影。
だがその言葉は雛子の耳には届かなかったようだ。顔の水を拭ってふと目の前を見ると既に雛子は数メートル先を泳いでいた。
その先で雛子が振り返る。何やら不満そうな貌。
「ねえたま、なんか冷たいよ、お湯」
「………思ったより………人の話を聞かないんだね………私は………温いお風呂に何時までも浸かっているのが好きなんだよ………」
「あったかくしていい?」
「………まあ………たまにはいいかな………」